武宝会素謡会(平成23年4月24日)|宝生流能楽師 登坂 武雄

活動報告

武宝会素謡会(平成23年4月24日)

謡曲・楊貴妃のあらすじ

唐の玄宗皇帝は安禄山の乱の時に殺された楊貴妃を忘れられず、方士に命じて彼女の魂のありかを尋ねさせます。方士は天井から黄泉(よみ)の国まで探しますが見当たらず、最後に常世(とこよ)の国の蓬莱宮へやってきます。そして所の者から、或る御殿に玉姫という人がいると聞きその御殿を見つけて様子を伺います。すると中から昔を忍ぶ叡嘆の声が漏れてきます。

この玉姫こそ楊貴妃の霊だったのでした。方士が唐の皇帝の使者だと名乗ると、楊貴妃は驚いて帳(とばり)を押しのけ姿を現します。方士は使いの趣を述べると楊貴妃は、玄宗皇帝との昔を懐かしみ憂いに沈みます。

方士は楊貴妃の魂が見つかった事を、皇帝に報告する為、会った証に形見の品を乞います。楊貴妃は髪に挿していた玉のかんざしを渡しますが、方士は皇帝と密かに契った言葉があれば其れを聞かせて欲しいと言います。

楊貴妃は七夕の夜

**天に在らば比翼の鳥、地に在らば連理の枝** と

その愛の永遠を誓った事を打ち明けます。

そして其の誓いも空しく自分一人が遠くに来てしまったが、出来る事なら未来でお目に掛かりたいと伝えて欲しいと言います。さらに自分は元は上界の仙人であったと、身の上を語り舞を舞い、形見の品を持って帰る方士を見送るのでした。

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